CT-SEM

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CT-SEM

特徴

CT-SEM(シィ・ティ・セム、Computed Tomography - Scanning Electron Microscope)は、ナノメートルオーダーの分解能を有したSEMを基本体として、その試料室に導入されたレーザーによって有機物表面をアブレーションさせながら取得したSEM画像を3次元再構築するナノレベルのCT装置です。 断層撮像は、レーザー照射による試料表面のアブレーションとSEMによる表面画像取得を交互に行います。

アブレーション光源について

本装置の最大の特徴は、アブレーションの際に、ほとんど熱を発生しないので試料を傷めずに表面層を掘削する事です。  1回の掘削面積は最大で2mm×2mmと非常に広範囲であり、その際のレーザー強度を制御することで1回の掘削量をも10nmから400nm程度まで連続的に制御可能です。またレーザーは100Hzのパルス照射なので1秒当たり最大で40 μm以上の高速掘削も可能にしていることが挙げられます。

・光源にはAr-Fエキシマレーザーを用いています。Ar-Fエキシマレーザーは波長193nm(6.30eV)であり、C=C結合の結合解離エネルギーに相当し、C=C結合を化学的に切断することで試料表面をアブレーションしています。

  • 1.照射レーザは有機体構成の主結合である C=C(電子対を共有する不飽和分子結合)に吸収
  • 2.励起された分子はピコ秒の時間スケールで光分解
  • 3.物質表面でのAblation 光解離で全エネルギーを消費するので熱変性はほぼ発生しない

・Ablation : レーザ照射による材料物質の除去/切削/蒸散/消失/溶融作用

  • 1.大面積を高速に掘削が可能
  • 2.熱変性の少ない掘削が期待される
  • 3.電子線(e-)を中和するので、絶縁分表面での電子によるcharge-upが発生しにくい

3Dデータ生成フロー

前処理として、生体試料やソフトマテリアルをエポキシで包埋し、装置に設置します。エキシマレーザー照射による掘削と、SEMによる最表面層の画像取得を交互に繰り返し、コンピュータに画像格納し、三次元再構築をし、三次元CTモデルとして保存されます。

腎臓をエポキシにより包埋
腎臓をエポキシにより包埋
next
LANTome-SEMにセット
next
エキシマレーザー
照射によるAblation
SEMにより
最表面層の画像取得
エキシマレーザー照射によるAblation
SEMにより最表面層の画像取得
コンピュータに画像格納
ボクセル(Voxel)化
コンピュータに画像格納ボクセル(Voxel)化
next
コンピュータ内部で3D化再構成
コンピュータ内部で3D化再構成
next
3Dモデル構成
3Dモデル構成
next
3Dモデルの元データは
ビックデータとしてPCに格納/保存される

CT-SEMの動作原理を解説した映像もご覧下さい。

比較表

本CT-SEMとの比較参照として、生体試料を測定する場合のX線CT、半導体材料加工を行う場合のFIB-SEMとの比較を以下に示します。

項目 X線CT装置 FIB-SEM CT-SEM 比較
分解能 0.5mm(500um) 10nm 10nm
領域 ∼ 2m 100um × 100um 2mm × 2mm
処理速度 非常に早い 遅い 高速
設置面積 3m×4m(制御系含め) 1.5m × 2.5m(同左)程度 1.0m × 1.2m(同左)

主な仕様

レーザー波長 193nm
レーザー出力 2W
レーザー光源 ArFエキシマレーザー
試料サイズ 10mm×10mm
エミッター ZrO/W
加速電圧 1 ∼ 5kV (連続可変)
分解能 10nm
倍率 ×50 ∼ ×500,000
試料搬送 全自動

アプリケーション

生体組織観察 CT-SEM

ナノメートルオーダーの分解能を有する高解像度三次元CTモデル化が可能です。

(a) エポキシ包埋した対象試料、(b) CT-SEMにより取得した三次元CTモデル

(左) エポキシ包埋した腎臓、(右) CT-SEMにより取得した腎臓の糸球体三次元画像

CT-SEM動作原理

CT-SEMの特徴や原理を、1分程度のCGアニメーションで紹介しています。